獣医師の渡邉佳和子です。
今回は症例報告と十分に言えるほどの内容ではありませんが、気になる牛の眼についてご紹介します。
右眼の病変について
まずは本題となる右眼について、写真で見ていただきたいと思います。


写真で立体感をお伝えするのはなかなか難しいのですが、

本来円形で表面は連続した球面であるはずの黒目(角膜)の部分において、
黄色く囲った部分がさらにドーム状に飛び出しており、
角膜は矢印で囲示す部分がへこんだハート型のように見えています。
少なくとも約1年半前には既にこの状態ではあったものの、
いつからこの状態なのか、何がきっかけでどのような過程を経てこの状態になったのか、
真相は不明ですが…
一つ予想するとしたら、
上の写真に矢印で示した部分が(特に2024年の写真では)白っぽく瘢痕状に見えることから、
この部分を中心とした重度の角膜潰瘍が過去に発生していて、潰瘍部分(=前眼房に空いた穴)から眼房水が一部漏出し、最終的に潰瘍部分は治癒したものの眼圧が下がったせいで眼球の一部分がしぼんでしまった、という可能性もあるのでは?と考えています。
実際に以下の写真の通り、こちらの牛は前から見ると左眼より右眼の方が若干小さくへこんで見えるのです。

左眼の方がちょっと出目です。
左眼(ヤギ眼)について
そしてこの写真で、左眼にも若干他の牛と違う部分が見られることに気づきましたでしょうか?

第一印象、かなりヤギっぽいと思いませんか?!
牛の瞳孔は元々このように地面と水平な長方形~楕円形であるため、それ自体はもちろん異常ではありません。
ただし、この牛は虹彩(瞳孔の周りを囲み、周囲の明るさによって収縮することで瞳孔の大きさを変化させる部分)の色素が茶色っぽく薄いため、瞳孔の形がよりくっきりと見え、虹彩の色も相まってヤギっぽく見えるというわけです。

生まれたての子牛で、青みがかったヤギのような眼をした子もたまに見かけますね👀
先ほどお見せした右眼に病変が発生する前は、左眼と同じようにヤギっぽかったのかどうかも気になるところです。
比較のために他の牛の眼も載せておきます。

左右の眼の出具合は同じぐらいです。

(少しブレた写真ですが)虹彩がほぼ真っ黒なので、瞳孔の形が目立ちません。
どちらかというと輝板(眼底にある光反射領域)の方が主張が強いです。

番外編ですがこちらは生後数日のジャージー子牛の目です。
よくフランス人形に例えられるように、虹彩が青みがかっていて、楕円形の瞳孔がはっきり見えます。
以上、今回は薫生さんのブログに(たまたま)引き続き、眼(目)のお話でした。
今回もお読みくださりありがとうございました!


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