牛の角結膜炎に対する眼洗浄の治療法|ゲンタマイシンとデキサメサゾン併用の効果

獣医師の渡邉佳和子です。

先日の1月初旬、担当農場様で高熱・発咳を特徴とする肺炎が大流行したのですが、同時にフリーストール牛舎の未経産牛ゾーンでは角結膜炎が流行していました。

こちらのゾーンでは肺炎症状としては軽い発咳を示す牛が散見される程度だったので、肺炎との関連ははっきりとは言えませんが、恐らくは共通のウイルスを原因とする病態だったのではないかと予想され、ウシヘルペスウイルス1型による牛伝染性鼻気管炎(IBR)が可能性としては最も高かったように思います。

牛の角結膜炎といえば、「伝染性角結膜炎(通称ピンクアイ)」あるいは上記の「IBR」が主要なところですが、皆さんは農場で角結膜炎の牛を発見した場合、どのように治療されているでしょうか?

獣医師によって考え方や方法は様々ですが、私たちは基本的にゲンタマイシンを用いた眼洗浄を3-4日間続けて行っています。ゲンタマイシンはヒト医療においては皮膚感染症や軽度なやけどといった表在性の細菌感染症に対して、軟膏やクリームといった形で古くから使われてきた抗生物質です。

今回はその方法をご紹介したいと思います。

用意するもの

・ぬるめの生理食塩水または蒸留水:100ml程度

・ゲンタマイシン硫酸塩注射液60mg:1A(1.5ml)
※なければ他の抗生剤で代用することもあります

・水性デキサ注:1ml
※今回初めて使用。効果は後述します

・20mlシリンジ

手順とコツ

①牛の頭部を保定する

②目の周りが目やにや涙で汚れている場合はペーパー類で拭き取る

③20mlほどの生理食塩水(または蒸留水)で洗浄(注入→排出)×2-3回

④10-15mmlほどの生理食塩水(〃)+ゲンタマイシン+デキサをシリンジに吸い、注入

以上です。

コツ①

シリンジを近づけると牛は怖がって目を瞑ってしまうので、反対の手で上下の結膜を開き、隙間にシリンジの先端(針なし)を差し込みます。
シリンジの先端が眼球に直接触れると痛いので、シリンジはできるだけ牛の顔面に対して水平~45°に持ちます。

コツ②

シリンジの先端は筒の縁に近いほうを牛側にするように持ち(イラスト参照)、瞼の端(内側でも外側でもOK)から、瞼を閉じさせたまま眼球に向けて注入します。注入するときは牛が嫌がることも多いので、躊躇せずに一気に入れて大丈夫です。

要領を掴めば、注入した液体が入れると同時に漏れることなく瞼の裏にしっかり溜まり、反対の手を緩めて牛が目を開けると同時にブシュッと出てきます。
しっかり溜めてから排出させたほうが、液体が全体に行き渡って綺麗に洗えたような気がしています。

実際の効果

実は今回、今まではゲンタマイシンしか使っていなかった眼洗浄に初めてデキサメサゾン(=ステロイド)を加えてみたところ、てきめんに効果があったので記事にしようと思い立ったのでした。

治療対象となったのは、1月初旬に述べ7頭の眼洗浄を行った角結膜炎罹患牛のうちの1頭で、経過観察とした日から2週間が経った頃に再発・悪化を確認したため、再び治療となりました。

再発初日

角膜全体に強い白濁が見られ、辺縁は赤く血管新生像がみられます。
目やに・流涙多量で、瞼も閉じ気味でした。
今月治療した牛たちの中でも最も重症な所見です。

3日間、ゲンタマイシン+デキサで治療した翌日

角膜の白濁領域が小さくなり、血管新生像は消失しました。
流涙も少なく、瞼がしっかり開いています。
見るからに回復しています!

ゲンタマイシンのみで治療していたときは3-4日間洗浄を継続してもはっきりとした治癒過程は確認できず、その後の経過観察期間でゆっくりと回復していく牛も珍しくありませんでしたが、デキサを加えただけで短期間での明らかな治癒が認められました。

今回は細菌性ではなくウイルス性の角結膜炎だった可能性が高いので、この牛のように抗生物質だけでは治りきらない炎症には特にデキサ併用が有効であることがわかりました。

デキサメサゾンは全身投与の場合には注意すべき点も多い薬剤ですが、このように局所での使用であれば全身的な影響はほとんどないと予想されるので、今後も場合に応じて積極的に取り入れてみようと思います。

今回もお読みくださりありがとうございました!

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