産業動物看護師という働き方

獣医師の渡邉佳和子です。

今回は、我が社のメンバーである家畜人工授精師の薫生さんのお仕事をご紹介していこうと思います。

はじめに

薫生さんは家畜人工授精師として人工授精業務に携わるだけでなく、私たちの獣医療において多岐にわたる活躍をしてくれています。

その働きぶりを見るうちに、単なる家畜人工授精師というだけではなく、”牛の看護師さん”というのが一番しっくりくるのではないかな?北海道中を探しても、こんな働き方をしている授精師さんはいないのではないかな?と思ったのが今回ブログに取り上げようと思ったきっかけです。

この記事を通して、産業動物獣医師の人手不足・離職率の高さが叫ばれる昨今、新しい職業選択として「産業動物看護師」という働き方を私たちから提案したいと考えています。

酪農家の数が年々減る一方で産業動物獣医師不足は続く現状の中でも、獣医師となる人間の数は毎年1000人程度と変わることはなく(当たり前ですが)、その中でも産業動物獣医師の道を選ぶ人の数はほんの一握りです。

そんな中、薫生さんのように「獣医師免許は持っていないけれど、動物が大好きで、より牛たちや酪農家さんと深く関わる仕事がしたい」と考える若い人材は大変貴重で、獣医師の指示のもとで知識や技術を磨いていけば、獣医療を力強く支えてくれる頼もしい存在となることが期待されます。

特に北海道では、産業動物獣医療をメインとした個人開業がここ数年で増えていることを実感されている方も多いでしょう。既に開業されている、または開業を目指している産業動物獣医師の皆さま、そして獣医師免許は持っていないものの牛に関わる仕事がしたいと考える方々に向けて、産業動物獣医療の新しい形をご提案したいと思います。

お仕事紹介

①人工授精関連業務

まずは本業の人工授精です。会社で統一された方法に従って準備します。

 お湯の温度を測って

 タンクからストローを取り出して

 注入棒にセット

 まだ1年目なので、毎回気合が入ります。上手くできるかな?

会社に戻ったら、その日の授精や妊娠鑑定といった繁殖関連のデータを記録します。
これらのデータは私たちの日々の繁殖管理業務だけでなく、月間・年間単位での繁殖成績の振り返りや農家さんへのご提案(コンサルティング)にも生かされています。

昨夏には、北海道家畜人工授精師大会での発表も行いました。

②診療補助業務

さて、ここからが本題です。

薫生さんに現時点で完全におまかせできている診療関連業務は、

・一般所見の診察(体温・心拍数・呼吸数の確認、ルーメンの聴診)

・補液管理、交換

・外科手術の外回り担当

・蹄病治療の補助(道具の準備、保定手伝い、洗浄など)

・フリーストール牛舎にいる診療対象牛の確保

・治療時の頭部の保定

・乾乳後期牛の分娩状況確認(私たちのルーティンワークの1つです)

・診療車への薬品や器具の補充

・検査室での血液検査(CBC、生化学、蛋白分画)

・診療車の運転

これらの項目です。

「授精師がこんなことまでやるの?」と驚く方もいれば、「そんなの全部獣医師がやればいい!自分1人で十分!」と感じる方もいらっしゃるかと思います。

しかし、私たちのように診療・授精対象牛を毎日何頭もお願いされる規模の大きな酪農家さんがお客さまにいらっしゃる場合、全ての仕事を1人でこなしていると軽く2-3時間以上は過ぎてしまうことも多々あります。

1人であれもこれもと身体と頭を忙しく使って慌ただしく仕事をこなすよりも、まかせられる部分はおまかせして、役割分担をすることで余裕を持って質の良い仕事をすることができるのです。

例えば…

看護師さんに点滴管理をおまかせして、発情鑑定を同時進行で獣医師が済ませる

→看護師さんに授精をおまかせして、薬品使用簿・繁殖台帳の記入や農家さんへの連絡を獣医師が済ませる

こんなふうに仕事をコンパクトにまとめることができます。

実際の様子はこんな感じです。

数リットルの点滴が必要な場合は時間がかかるので、適切に管理してくれる人がいることはとても頼りになります。

獣医師の聴診中、同時に体温を測ってくれています。これも小さなことですが、手間が省けてとても助かります。

外科手術中の薫生さん目線の写真。滅菌手袋を履いた筆者に何か指示を出されています。
現場での手術はどうしても人数が限られるので、術者・助手の他にもう1人いることは大変重要です。

すっかりお得意の乳房洗浄のお手伝い中。乳房洗浄に関しては以下のブログもよろしければご覧ください。

使う薬品や治療内容を伝えると、診療車に戻って素早く準備してくれます。

難産介助中、左側から伸びているのが薫生さんの手です。産科ロープを保持してくれる手、助かりますね!

フリーストール牛舎での診療が終わったら、連動スタンチョンを忘れずに外します。

使った踏み台やバケツは綺麗に洗って帰ります。どちらかの写真のどこかに猫ちゃんがいますよ~

いつも安全運転ありがとうございます!

日常風景の中から、ごく一部ですが切り取ってみました。

協力し合うことで無理なく、効率よく仕事を進めていく様子が伝わると嬉しいです。

③その他

他にも、薫生さんならではの”整理整頓上手” “手先が器用” “DIYが得意”といったたくさんの長所を生かして、様々な雑務を日々行ってくれています。

筆者は整理整頓が大の苦手なので、隙を見つけては器具を分解して洗浄してくれたり、診療車の中を整理してくれたり、「この薬品がもうすぐ無くなりそうですよ」と教えてくれたり、本当に助けられてばかりです(書いていて自分が情けなくなってきました)。

我が社では獣医師の数は2人のみと限られていますが、薫生さんがいてくれることで仕事量の多い日でもどちらか1人は休む余裕が生まれます。

おわりに

以上、薫生さんのお仕事風景を通した、産業動物看護師(兼家畜人工授精師)という働き方のご提案でした。

「こんな方法もあるのだな」と獣医師の皆さんに感じていただくだけでなく、「本当はこんな仕事がしたかった」という牛が好きな皆さんに届くことを願っています。

今回もお読みくださりありがとうございました!

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