牛の体の不思議②

スーパーに並んでいる牛乳はどのようにして牛の体から作られているのでしょうか?
今回は「どうして牛は牛乳を出すの?」「どんなふうに牛乳が体の中で作られているの?」といった疑問をわかりやすく説明していきます。
それでは「牛乳のひみつ」を見てみましょう。

どうして牛は牛乳を出すの?

私たちが普段飲んでいる牛乳は“乳牛”とよばれる種類の雌牛が出してくれます。牛が生まれてから11〜14ヶ月は育成牛と呼ばれます。その後13〜16ヶ月齢で最初の人工授精をし、受胎すればその後、約280日間妊娠を継続します。出産後は泌乳期と呼ばれ、280〜300日間牛乳を生産します。

つまり、牛もお母さんになることで初めて牛乳が出るようになるのです。ですから、どの牛でもいつでも牛乳を出せるわけではありません。赤ちゃんを産んだ牛だけが、一定の期間牛乳を出すことができます。

牛乳はどこで作られる?

牛の体の中には“乳房“という器官があります。お腹のうしろ、後ろ足のあいだにあり、4つに分かれていて、それぞれに乳頭(=おっぱいの出口)があります。この乳房の中にある”乳腺“と呼ばれる部分が、牛乳を作る工場のような役割をしています。

乳腺の中には、「乳細胞」という小さな細胞がぎっしりと集まっていて、そこに血液から栄養や水分が運ばれてくると、それらを使って牛乳が作られるのです。牛の血液から牛乳ができるなんて、ちょっと不思議に思えるかもしれませんね。

実は、1リットルの牛乳を作るのに、約500リットルの血液が必要だと言われています。それだけ、牛の体は大きな力を使って牛乳を作っているのです。

牛乳はどんなふうに出てくるの?

牛乳(乳汁)は乳腺細胞から乳管へと送られ、乳槽に蓄積されます。子牛が乳房に触れたり、乳を吸ったりする刺激や、人間が搾乳の際に前搾りを行う刺激が脳の視床下部に伝わります。視床下部はオキシトシンホルモンの分泌を促し、乳腺の筋肉を収縮させ、乳汁が乳管を通じて乳頭へと押し出されます。その後収縮によって乳汁が乳頭から排出されます。

このとき、乳頭から乳汁を搾る“搾乳機“という道具を使って、やさしく牛乳を吸い出します。最近の牧場では、この搾乳を機械で自動的に行う”ロボット搾乳機“も使われるようになっています

牛たちはこの搾乳タイムが毎日決まった時間にあるため、ちゃんとそのリズムに慣れているようです。

ミニコラム:牛乳の色はどうして白い?

牛乳が白く見えるのは、「乳脂肪球」や「カゼインミセル」と呼ばれる粒子が、光を散乱させるからなんです。

乳脂肪球は牛乳の中に分散している小さな脂肪の粒です。光がこれらの粒子に当たると、様々な方向に散乱されます。
カゼインミセルは牛乳に含まれるたんぱく質「カゼイン」がミセル(集合体)として存在しており、これも光を散乱させます。
この「光の散乱」が強いため、すべての波長の光がほぼ均等に反射され、結果として人の目には「白く」見えるのです。

ちなみに、低脂肪乳やスキム牛乳は乳脂肪が少ないため、やや青白く見えることもあります。

どれくらいの量が出るの?

牛が1日に出す牛乳の量は、種類や個体によって違いますが、ホルスタイン種の牛なら1日で50〜60リットル前後出すこともあります。これは牛乳パック50〜60本分でとっても多いですよね。

これだけの牛乳を毎日出すために、牛はたくさんの草や飼料を食べ、たっぷりと水を飲んでいます。元気で健康な体を保つことが、牛乳をたくさん出すためにも大切なんですね。

牛乳はどうやって私たちのもとへ?

搾乳された牛乳は、まず牧場の中にある「バルククーラー」という冷たいタンクに集められます。そして、冷たいまま衛生的に保存され、タンクローリー車で牛乳工場へと運ばれます。
牛乳工場での、殺菌・パック詰めなどの工程を経て、スーパーや学校などに届けられ、みなさんのもとへ届くのです。

皆さんが普段何気なく飲んでいる牛乳を作り出すために、牛たちは大きなエネルギーを消費してくれています。牛乳にはチーズやバター、ヨーグルトなどたくさんの加工品を作ることができ、今や私たちの生活になくてはならいものですよね。ぜひ牛乳を飲むときには「いただきます、ありがとう」の気持ちを忘れずにいてくださいね。

🐄次回予告

次回は、牛の行動や鳴き声から、牛の気持ちを読み取る方法を紹介します!
お楽しみに!!

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