久しぶりの臍帯炎(中編)

前編に引き続き、生後5日で臍帯炎を発症した子牛の症例紹介記事になります。
臍帯炎は徐々に良くなってきたものの、貧血が主因と予想されるふらつき・しょんぼり感が気になり、輸血をした後のお話です。

「8〜14診目」

2日間の輸血を終えた翌日、予期せぬことが起こりました。

子牛の両目が腫れぼったく、ほとんど開かなくなってしまっています。
他に急を要するような症状もなく、便は少し固まってきていたこともあり、この日は抗生剤の継続のみで終わりましたが、気になる点としては心拍数が80回/分と仔牛にしては徐脈ぎみで、20-30回に1度リズムが崩れたり脈が飛ぶこと。
ちなみにこの時点でも臍は日に日に退縮してきていて、触診時に後肢で蹴るほどの活気はありました。

しかし、翌日も変わらず目が開いていませんでした。
…もしや、輸血に対するアレルギー性の副反応??あまり聞いたことはありませんが、発症のタイミング的にも、「輸血への副反応」の可能性が第一に考えられました。
治療選択薬としては抗ヒスタミン剤が第一に考えられますが、あいにく所持していません。そこで第二の選択肢として、試しにプレドニゾロンの注射を開始してみることにしました。

すると…↓

注射開始翌日(プレドニゾロン2日目)

さらにその翌日(プレドニゾロン3日目)

なんということでしょう、こんなにぱっちり開くようになりました。

ちなみに3枚目の写真を撮った日の血液検査はこんな感じです↓

輸血が功を奏したのか、初診時以来ヘマトクリットが最も高く、ほぼ正常値に達しています!血小板は相変わらず高直を示していますが、これは明らかな血小板増多症というほどのレベルではないそうです。

下痢も治り、便が固まりました↓

プレドニゾロンを漸減しながら3日間投与し、目の腫れも引いてきたので、再び抗生剤の注射のみに戻して1日経過観察してみました。

すると、2日間は以下のように小康状態が保たれていたのですが、

この翌日(プレドニゾロン投与終了から3日後)…

14〜18診目

なんとまたまた目が腫れぼったくなってしまいました。そしてなんと下痢も再発。
これに対して生菌剤ダンゴの経口投与+再びプレドニゾロンの注射を開始してみると、翌日には…

あらスッキリ。腫れが引きました。便はまだ緩く泥状の軟便ですが、昨日よりは良くなった様子。
どうやらプレドニゾロンは継続した方が良さそうとのことで、ここから再び5日間漸減しながら注射を実施しました。

5日間で若干目が開きづらそうな日はあったものの、便の状態も徐々に改善しており、今日で注射を終わりにしようとしたその日、またまた予想外の事態が起こります…

〜後編に続く〜

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