【超貴重】流産胎子の解剖

こんにちは!獣医師の渡邉佳和子です。

⚠️今回の記事は生々しい写真で構成されています。グロテスクなもの、生の臓器などが苦手な方は閲覧をお控えください⚠️

↓↓閲覧注意↓↓

先日、「10/21に授精した牛が流産している。後産が出ている」との連絡を受けお伺いしました。

確認のため外陰部から産道へ手を入れてみると、胎膜の一部の他に何か硬いものに触れ、取り出してみると…

なんと、尿膜に包まれた胎子がつるんとそのまま綺麗に出てきました!

一次破水で破れる部分の尿膜が全体を覆っており、母体胎盤とくっついて絨毛叢を形成していた絨毛膜も数箇所みられます。叢毛状胎盤(多胎盤)の特徴ですね!

尿膜を剥がすと

二次破水で破れる部分の薄い羊膜が胎子を包んでいます。

さらに羊膜を剥がすと

綺麗に胎子が出てきました!脚が4本出来上がっているのがわかります。ぷよぷよとしているので優しく扱っていきます。

背中側から見るとこんな感じです。尻尾ができています。

皮膚はまだ出来上がっておらず、全身は皮膚のもととなる薄く透明な膜で覆われています。

肋骨など骨が透けて見え、おへその部分からは臍帯(へそのお)が出ています。

三角形の耳、目、鼻の穴までできています。

後肢を開いてみると、お尻の部分に陰核と思しきものが見つかりました。
この子はメスだったようです。

さて、ここからはお腹を開いて臓器を見てみます。

開くとこんな感じ。消化管を切ってしまったようで、切った途端に茶色いドロっとした液体が出てきました。

胸の部分。心臓と左右の肺ができています。

お腹の部分。小腸や、豆形の腎臓もできています。

そして今回一番不思議だった部分、肝臓です。

位置的には確かに肝臓で、これ以外には肝臓らしいものが見当たらなかったのですが、写真の通り袋状の構造だったのです。

薄い膜で包まれた中には、肝臓っぽい見た目なのに触るとすぐ崩れてしまう組織と、液体が含まれていました。

この構造を疑問に思い、肝臓の発生について調べてみたところ、マウスの肝臓の発生に関する図解が見つかりました。

マーカー分子による肝幹/前駆細胞の性状解析(著:田中 稔 氏)より引用

こちらを参照すると、薄い膜の中に肝臓になりかけの柔らかい組織が含まれていたのはこの図そのもののように思われます。

マウスは妊娠期間が20日なので、大体妊娠期間の半分ぐらいで肝臓ができ始め、4/5ぐらいでようやく胆管の分化が始まるということです。

妊娠期間が280日の牛では胎齢90日ごろでこの完成度の肝臓、順当な気がしてきました!

ご紹介する写真は以上です。

通常であれば知らぬ間に娩出されて糞尿に混ざってしまうこんなに小さな流産胎子を運よくじっくり観察することができ、大変勉強になりました!

ご協力いただいた農家の方々に感謝申し上げます。

今回もお読みくださりありがとうございました!

コメント

Access

所在地・アクセス

TK-Lab. Ambition
〒068-1111 北海道 石狩郡 新篠津村 第47線北14番地

こんなお悩みを解決します

事業一覧

Access

所在地・アクセス

TK-Lab. Ambition
〒068-1111 北海道 石狩郡 新篠津村 第47線北14番地
TK-Lab. Ambition

TK-Lab.Ambition
生産動物臨床獣医療

© 2026 TK-Lab. Ambition

TK-Lab. Ambition

TK-Lab.Ambition
生産動物臨床獣医療

事業一覧

コンサルティング

システム開発・導入

© 2026 TK-Lab. Ambition

PAGE TOP